「不器用な」人のための就活方法

 曲がりなりにも就活を終えることが出来た身として、ぼくのような人間がどうしたらなんとか就活を終わらせることが出来るのかということを考えておきたいと思います。
 先に予防線を張っておきますが、今から書く事は独断と偏見に満ち溢れている上に、諸事情により(原因については過去の日記参照)いわゆる就活のプロセスを経験したのは2ヶ月ほどに過ぎませんし(しかも後半1ヶ月は1ヶ月の間に2社の説明会に出席し、2社の面接に進んだに過ぎず、ほとんど就活をしていない状況でしたし)、インターンやOB訪問は一切したことがありませんので、圧倒的に経験が不足しており、内容もほとんどの方には参考にならないと思われます。その点は十分にご注意ください。
 あと、この話は基本的に非リア向けです。リア充の皆様はお帰りください。リア充の人はこんな文章を読んでる暇があったら他のことでもやるべきです。時間は有限なのですから。

 話を書いておく前提としてぼくのスペックを簡単にまとめておきたいと思います。
・男、引きこもり(外に出るきっかけがないと外にでない)
・MARCH,民事訴訟法ゼミ、TOEIC600点(←書くだけ恥さらしなので書かない書けない)
・このサークル4年目(かと言ってまとめるべき役職にいたわけではない)、アルバイトは塾の先生(←完全に個人プレー)
ここまでまとめるとよくわかるとは思いますが、これは社会が求める人物像としてよく言われる「前に踏み出す力(=主体性)」・「考え抜く力(=地頭の良さ)」・「チームで働く力(=協調性、リーダーシップ能力)」*1のうち、「前に踏み出す力」と「チームで働く力」を身につけるような経験をほとんどしてこなかったことが分かります。
 
 なぜそういう経験をしてこなかったのかというと、そういう経験をしたいと思わなかったからということにつきます。
 というかもっと言ってしまうと、大学生がやっておくべきとされているようなもの、つまりバイト仲間との熱心な交流とか、合コンとか、いろいろ・・・と枚挙に暇がありませんが、そういうものに対して極めてヤル気がなかったのです。だって興味わかないし、つまらなさそうだし*2。変な喩えかもしれませんが、セロリは不味いから嫌いという人が、セロリを食べてこなくても生きてこれたので食べませんでした、というレベルの話です。
 要するに「世の中で大学生たるものこういうモノに興味を持っていて、こういう経験をしているものだ」みたいな規範に自分を合わせる気が全くしなかったと、そういうことなのです。
 でも、こういう人って、どの世代にもどのライフステージにもいるような気がします。小さい頃から、みんなの興味関心事のメインストリームから外れたことにしか興味がわかなかった人、そういう人っているんじゃないですか?みんないろいろ遊んでる中で一人自分の好きなことをやっておきたいタイプ、どちらかと言えばぼくはそういうタイプの人間でした。社会的に要請されているモノと自分の興味関心の湧くことが一致しないのです。極端に言うと、社会的には要らない子なのです。ここではそういう人を「不器用な人」*3と呼びたいと思います。

 一方で、「世の中で大学生たるものこういうモノに興味を持っていて、こういう経験をしているものだ」みたいな規範を受け入れ、自分の本心からそういうモノを楽しんでいる人もいるようなのです。そしてそういう人たちは、どうもネットでリア充と呼ばれている人たちと重なるような気がします(そもそも非リアにリア充の気持ちはわかるはずも無いのですけども)。こういう人はぼくから見ると、社会的な要請と内面の欲望がうまく噛み合った「器用な人」なのです。
 2chなんかで「リア充は就活がうまく行く」「非リアは就活はうまくいかない」みたいな話がよくされていますけども、それが意味するところは自分の内面を社会的規範に一致させていくことが出来る人(=リア充)は社会の複雑なルールもまた理解しやすいというところなんじゃないかなと思ったりします。
 非リアの中でもぼくみたいなタイプの人間は、そもそもあんまり人間に興味がなかったりするので、この人がどういう人で、どういうことを言っておけば機嫌が良くて、みたいなことを考えるみたいな習慣が、そもそも無かったりします。そういう人だと、社会に出ていきなり複雑な人間関係に直面すると、「なんだコレ意味わかんねえ」となるわけです。だからバイト先とかでよくある「人間関係の基礎は完全に利害関係のみで決まるが、それでもお互いなんとなく寂しかったりするので仲良くはしたがっている」みたいな関係性を頭では理解できても、心ではさっぱり理解できなかったりします(特に後段がw)。
 多分これっていわゆる社会人基礎力を養う前提が欠けているとかそういう話になってくるんじゃないのかなあって思うんですけども。どうなんでしょう・・・

 でもですよ、「不器用な人」であってもお金を稼ぐすべを見つけておかないと死んでしまうわけです。生活保護だってそんな簡単には降りないご時世ですし。
 ではそんな「不器用な人」はいかにして就活をするべきなのでしょうか。

<自己分析>
 多分自分が「不器用な人」ということがよくわかっている人であれば、自己分析で最低限知っておかなければならないことは分かっているということで、自己分析の半分くらいは済んでしまったようなもんなんです。後は『絶対内定シリーズ』の自己分析編でも使ってサクサク自己分析を進めておきましょう。
 ここで注意しておきたいのは、自分が本当に「不器用」なのかどうかをよく見極めることのような気がします。リア充になりたいという気持ちが強くあるのなら、現在「不器用」であったとしても「不器用」用の就活をすることはあまりおすすめしません。また、リア充に伴なう摩擦や自己嫌悪が嫌(これは正当な理由だとも個人的には思いますが)という理由で、自分を偽って非リアを装っているのなら、非リアをなめているのでさっさとリア充への道をおすすめします。
 なお、これまで生きてきた中で何度もリア充になるチャンスがあって、それに何度か挑戦してきたにも関わらず、やっぱりうまくいかないという人は根本的にリア充とは人間性が違っているんじゃないかと思ってしまうので、リア充的就活を送るのはやめたほうがリスクは低そうだと思います。

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「不器用な人」は大抵一人でいる時間が多いはずなのでその時間を対策に回したらいいと思いますよ。就活における唯一のいい点ですね。

<企業選び>
 「不器用な人」の就活では企業選びはかなり大切なような気がします。というのも、器用な人だとぶっちゃけどの業界に行っても割合にうまくいくんじゃないかと思うんですが、逆はうまくいかないような気がするからです。根本的に器用な人のほうが世の中には多いですからねw
 なので、やりがいや年収も大切ですけど(構造的に賃金が低くなってしまっている業種の企業の場合、そのことを明確に自覚した上で入社しなかったせいか、賃金が上がらないことを会社のせいにするとか平気でしてしまう人を見ると、自分で自分を不幸にしていると感じてしまいます。自分の仕事に誇りを持つためにも絶対に年収は大事なのはよくわかります。)、自分がその企業にマッチするのかどうかということを他の人よりも強く意識するべきだと思います。
 具体的にどの業種を避けろとか、どの企業がよさそうとかという話は、自分で確かめるべきことだと思うのでここでは書きませんが、説明会・面接に出てきている社員の方や説明会・面接に集まった就活生がどんな人達なのかをよく見ておくと、自分に合った業種・企業がどこなのかわかるんじゃないかと思います。あと2chの情報も読み方によっては組み合わせで使えるので利用するのもいいと思いました。

<ES>
 ES。多分これを書くのは結構辛いんじゃないでしょうか。だって、そもそも「不器用な人」は一人でコツコツ頑張った系の話が得意なんですよね。「前に踏み出す力」と「チームで働く力」をガツガツ身につけてきたわけではないのに、ESではそういう内容が求められてしまうものが多いもんだから、その面ではやっぱり圧倒的に不利になってしまう。この問題をなんとかして解決しないといけません。
 一つの方法としては、エピソードを捏造するという方法があります。確かにそういうエピソードを捏造するのは簡単なんですよ。ただし、「不器用な人」は不器用だから、その性格の部分がESの書き方や文面に出てしまって、ESの文章内容はリーダーシップ能力を訴えるものであっても、文面からはむしろ落ち着きのある、個で完結しているような性格だという印象を受けるということのほうが多いのではないでしょうか。しかもESは通過したらそれで終わるわけじゃないですよね。ESを元にした面接を何次も受け、面接官を欺き続けなければいけないわけです。そこまで出来たらもはや立派なもんですけど、それが出来るような人が「不器用」なわけがないので、真に「不器用な人」にはあまりオススメしません。
 じゃあどうするのか、と言われると中々に厳しいところではあるのですが、いっそ開き直って一人でコツコツ頑張った系の話でESを書き続けるというのはどうでしょうか、という答えになりもしない方法をオススメします。勝率は半分もないかもしれませんが・・・リスク高いですけど・・・
 ここの判断は、どちらをとってもリスクが高いことになるので自分で良く考えて選ぶのが吉です。よくわからなくなってきたら、「どーせ自分は『不器用』だし、だからそもそも生きてくのもリスク高いし」くらいに開き直って、そのかわり死ぬ気で真剣に数をこなすというのもアリな気はします。
 
<面接>
 「不器用な人」にとって面接はかなり辛いです。多分。*4
 この場合、もう当たって砕けろの精神で場数を踏むしか無いように思います。自分の話したいことを予め文章にまとめておいた上で一定時間内にしゃべる訓練をすれば、そのうちに社会人やエライ人と喋ってもなんとかなってくるんじゃないでしょうか。こればっかりはなれるまでに個人差があると思いますし(10回面接を受けて面接に慣れる人もいれば、50回以上受けて初めて慣れる人もいるんじゃないかと思うし)、自分の成長を気長に待ちつつ自分の部屋でも一人で喋る内容をハキハキ喋ってみるとかの訓練を細かい時間の間を縫って重ねるべきなのかなと。
 面接は、最初のうちは特にいろいろ考えないといけないことはあるし、気をつけないことはあるし、これだけは喋りたい!ということは決まってるしで、気持ちだけが混乱したり焦ったりでうまくいかないことも多いと思います。人によってはこれらに人見知りなども加わって、本当に大変になりえます。なのでまずはその中でも一番心がけておくべきこと1つに絞って、面接練習をやってみるのも有効な手段かもしれません。その1つとしておすすめなのは問に対して的確に答えを返すことが出来るかということです。面接での基本中の基本なのだろうとは思うのですが、実際にやってみるとなかなか難しいものです。でもこれが出来るようになると、自分の答えに自信が出てきて自然に表情や姿勢も良くなるような気がします。


ここまで、一就活生としていろいろ書いてみたのですが、よく読んでみると何かを言っているようで何も言っていないのではないか(というか、不器用という言葉を使いたいがために無理矢理に就活の話を持ってきたのではないか)と思えるほどに、就活生への実戦的アドバイスは皆無になってしまいました。その点は申し訳ないんですが、多分就活経験が未熟なぼくが何かを語るよりも、本屋さんに就活本の類で非常に使えるものもありますし、今の時期ならまだまだ4年生の就活を終えた人たちもそれほど就活の時の体験を忘れずにいるはずなので、そちらのほうを参考にしてもらえればと思います。*5なんやかんや言って成功者に訊くのが一番いいと思いますよ。

あと、結局いろいろ努力したけれども内定を頂けないという場合、非常に残酷なようですがその勝負は自分には適していないのかもしれません(ぼくはこれまで様々な勝負で負け続けているので、どこで自分はもっとも幸せになれるのかという大きな目的にまで戻って自分の負けを正当化することには慣れているし、「いやーあの時もうちょっと頑張ったらもっといい結果になったでしょ」と「いやいやどう考えてもあの時はあれが精一杯だったし世間知らずだったし結果的には今の形でよかったんだよ」っていう2つの狭間で微妙な自意識を持ち続けながら生きていくことには、あんまり抵抗を感じないので、この結末は割合に簡単に受け入れられるのですが)。その場合は、いかにして競争から離脱・撤退するのかが大切になります。こっちはまた気が向いたらまとめます。

最後に一足先に社会人として活躍なさっている多くの方へ。きっとこのブログに書いてあることなんて社会人から見ると社会を知らない学生風情が知ったような顔してなんか書いてるぜwって一笑に付すような内容だということは自分でもよく自覚してますし、多分ぼくも自分が社会人になってこのエントリを見たら失笑すること間違いないんですが、よければ一笑に付した後で構わないので、どの辺が勘違いなのか、そして「不器用な人」が幸せに生きるためには本当は何をよかったのかについてアドバイスをいただけるとすごく助かります。よろしくお願いしますね。

*1:参考:経済産業省:企業の「求める人材像」調査の結果について〜社会人基礎力との関係〜http://www.meti.go.jp/press/20070312001/20070312001.html

*2:というか、バイト先の飲み会とかそういう雰囲気になることもあるけどすごくつまらないし、周りの人間を見てすごくイライラが募るし、価値観の差ばかりを感じて「明らかにこの集団にいてもぼくは幸せにならない」と感じてしまうわけで

*3:自分でもこの定義付けは曖昧に過ぎ、ぼんやりしすぎているのはよくわかっているのだが、人間をそんなに簡単に類型化することも出来ないわけで・・・(←自分で理論的に精緻に詰めてない言い訳)イメージとしては「あーそういう世の中にあんまりなじまないタイプね、確かにクラスに1人2人はいるだろうね」ってみんなが思うような人なんですが。そういう人を想像してほしいなあと。。。

*4:多分と書いたのは、実はぼくは面接を受けたところで真剣に準備をしていった会社に関しては幸い全て面接を通過することが出来たので(どことは言わないけど途中で行く気無くして、適当に準備して行ったらグループ会社の別会社の仕事内容を喋っていたことがあったりして、そこはさすがに落とされたけどもw)、もしかしたら「不器用さ」と面接テクニックとはそれほど相関性は無いのかもしれないとか血迷ったことを考えてしまったりしたからです。

*5:お礼は忘れずに。